過去の展覧会

つちもの 碗形態の器考

会期:2020/10/03〜10/22


饗庭孝昌/岩見晋介/荻野善史/小野正穂/近藤康弘/田山健司/芳賀龍一/福島誠

灰釉碗   五斗蒔の土     寺山青磁
並白碗   益子赤土〈原土〉   山の砂 ストーブの灰
      アサギ原土     寺山釉
粟皿・盃  蛙目粘土      寺山青磁
粉引その他 北郷谷 並土
山茶碗は東海地方のものなので、誰かに貰ったままになっていた、五斗蒔など使ってみました。
                                              饗庭 孝昌

僕の今の最大の関心事は、何もないところから焼き物を生み出すこと。土を掘り窯を作り、粘土を掘り器を作り、木を伐り薪を割り、
焼き、そうして現れる焼き物が美しく機能するとき、何か一つの生きる力を身に着けている様な気持になって嬉しくなる。人が体一つ
で作ることができる、そういう焼き物に大きな魅力を感じている。
                                                       岩見 晋介

今回のテーマが「碗形態の器考」とゆうことで、「碗」と「うつわ」について考えてみました。
まず「うつわ」 の語源は「ウロ」で、「虚」つまりは何も無い空間のこと。何かが入る余地のある空間そのものの意味が転じて「うつわ」
になったとのこと。
用途はとりあえず置いておいて、空を内包するような、切り取るような形を思考した結果、何か植物の実を刳ったような形 の「うつわ」
が生まれました。
また、今回はあえて高台の無い不安定なうつわにすることで「茶碗」のルーツも再考するきっかけとなりまし た。
ここから、これからのうつわづくりの起点となる展示会になりそうです。
                                                        荻野 善史

こうも長い年月、器を作り続けていると,思考も手も体も自動的に,何か食べ物を盛る形に思いを馳せる,だが今回のテーマは『碗形態
の器考』です,そこでそのイージーな思考にちょいとひねりを加えて,思い出深い出来事を器に盛ってみようと思いつき,形にしてみま
した。こじつけがましいけれど、もう少し作り続けてみたら,何か面白い形が見えてくるかもしれません。
                                                        小野 正穂

今展示会のお話をいただいたのは作陶の為滞在していたデンマークボーンホルム 島ででした。
お茶の文化にも捉われない碗という形を考えた時、千年以上も前から日本で作られていた山茶碗は特別な存在です。
まずそれを作り、そこから碗という形態を見つめてみる。少数ですがその土地で作ったものと日本の違う粘土とで二種類作りました。
あとコロナという新時代の中で、願いというものが心の中で強くなり、それを器の形で表現したら高台の高い合鹿碗という形に行き
着きました。又、そこに使った粘土は少しなりともコロナの影響で引っ越すことにした新しい土地で見つけた粘土です。  
                                                       近藤 康弘

自然とともにを目指し作陶生活しています。土の持ついろいろな表情を見つけたいのですが、情緒的に流されないように気をつけて
います。碗という形は、内側と外側がせめぎあい、とても魅力的ですが、使うという見方と葛藤がると思っています。
                                                       田山 健司

やきものは人類が化学変化を意識的に応用し、生みだしたといわれていますが現在に至るまでには、形や色合い、装飾などにさまざ
まな技術が取り入れ、変化してきました。一般的には粘土など不純物を取り除いて精製しますが、私はその不純物をいかして精製す
ることもあります。
個性豊かな8名の作品から発せられるパワーの奥深さを感じでいただければ幸いです。
                                                       福島 誠