益子焼とは|歴史・特徴・釉薬・技法を現地ギャラリーが徹底解説
益子焼の今
日本遺産「かさましこ」
2020年、益子焼は笠間焼(茨城県笠間市)とともに日本遺産「かさましこ ~兄弟産地が紡ぐ"焼き物語"~」に認定されました。笠間で技術を学んだ大塚啓三郎が益子で開窯した歴史が示す通り、両産地は170年以上にわたり深いつながりを持っています。日本遺産認定により、広域での観光振興や文化発信の取り組みが進んでいます。
益子陶器市
毎年春(4月末〜5月初旬のゴールデンウィーク)と秋(11月初旬)に開催される益子最大のイベントです。約600〜700のテントが立ち並び、販売店約50店舗と合わせて膨大な数の陶器が販売されます。会期中の来場者数は約60万人に達し、伝統的な益子焼から若手作家の現代的な器まで、多彩な陶器を手に取って選ぶことができます。
益子陶器市の詳しいガイドはこちら → 益子陶器市ガイド
新しい世代の作家たち
益子には現在も国内外から多くの陶芸家が集まり、活動しています。民藝の伝統を受け継ぐ作家、モダンなデザインを追求する作家、海外のルーツを持つ作家など、その表現は多種多様です。こうした多様性こそが、現代の益子焼の活力の源泉となっています。
よくある質問
Q: 益子焼はなぜ重いのですか?
益子焼に使われる陶土は砂気が多く粗い性質を持つため、薄く成形することが難しく、厚手に仕上がります。また、陶土に他の物質を加えずそのまま使うことが伝統とされているため、素材そのものの重さが器に反映されます。この厚みと重さは、手に馴染む温かさや安定感として、益子焼ならではの魅力になっています。
Q: 益子焼と笠間焼の違いは何ですか?
益子焼は笠間焼の流れを汲んで1853年に始まった「兄弟産地」の関係にあります。最も大きな違いは陶土で、益子の土は砂気が多く厚手でおおらかな造形に向き、笠間の土は比較的きめが細かく薄手の作品にも適しています。ただし、現代では両産地とも作家の個性が強く、一概に区別できないほど表現は多様化しています。
Q: 益子焼の釉薬は何種類ありますか?
伝統的に使われてきた基本的な釉薬は、柿釉・黒釉・糠白釉・飴釉・並白釉(透明釉)などが挙げられます。これらをベースに、青磁釉やその他の釉薬も用いられています。現代の作家はさらに独自の調合を研究しており、釉薬のバリエーションは常に広がり続けています。
Q: 益子焼はいつ始まったのですか?
1853年(嘉永6年)に大塚啓三郎(1828〜1876)が益子の根古屋に窯を築いたのが始まりとされています。茨城県笠間で製陶の技術を学んだ啓三郎が、益子で焼き物に適した良質の陶土を発見したことがきっかけです。
Q: 益子焼は電子レンジやオーブンで使えますか?
一般的な益子焼の食器は電子レンジでの使用が可能です。ただし、金彩・銀彩が施された器は電子レンジ不可です。オーブンについては、耐熱を想定して作られたグラタン皿や土鍋以外は、急激な温度変化で割れるおそれがあるため注意が必要です。個々の器の取り扱いについては、購入先や作家に確認されることをおすすめします。
Q: 益子焼のお手入れ方法は?
陶器は磁器に比べて吸水性があるため、使い始めに米のとぎ汁で煮沸する「目止め」をすると、シミや汚れが付きにくくなります。使用後はしっかり乾燥させてから収納してください。食器洗浄機の使用は作品によって可否が異なりますので、購入時に確認するのが確実です。
益子焼に出会える場所
益子焼の魅力を実際に手に取って感じたい方は、ぜひ益子町にお越しください。
陶庫は1974年の創業以来、大正時代に建てられた大谷石蔵を活かした空間で、30名以上の益子焼作家の作品を展覧会形式で展示販売しています。年間約24回の展覧会のほか、益子焼の歴史を知ることができる「合田好道記念室」も併設しています。また、陶庫のオリジナルブランド「道祖土和田窯」(Sayado Wadagama)の器も常時お取り扱いしています。
本記事は、栃木県益子町で1974年より陶器ギャラリーを営む「陶庫」が、産地に根ざした一次情報をもとに執筆しています。